脳と睡眠の関係~質の良い睡眠で脳を活性化

脳と睡眠の関係

脳と睡眠、どんな関係があるのでしょうか。
睡眠は身体の休息になるだけではなく、情報を記憶として脳に覚えさせる、とても大切な時間なのです。

睡眠不足で頭が回らない……などとよく言われますが、「睡眠=脳に記憶を定着」ということを考えると、睡眠不足は身体に悪いだけではなく、記憶にとってもよくないのです。

しっかりと質の良い睡眠をとり、脳を活性化させましょう。

脳の働きは睡眠次第

脳の働きは睡眠次第

毎日の朝の目覚めはどうですか?
「よく眠れた」「ぐっすり眠れた」と目覚めた日は、1日中気分もスッキリしていて、頭の回転もスムーズにいきます。

一方、目覚めとともにだるさを感じたり、寝ているのに疲れが取れなかったり、ベッドから起き上がっても頭が回らず、しばらく動けなかったり……。

睡眠不足や夜中に何度も目覚めてしまい、よく眠れていない時はこんな感じでしょう。
こんなときは何をするにも集中できず、「頭が回らない」「頭が働いていない」と思うでしょう。
私たちが普段思う「頭」こそ、「脳」のことなのです。

働き続ける脳にも休息を

私たちが物事を考えたり、きれいな景色を見たり、好きな音楽を聴いたり、映画を見て感動したり、体を動かしたり……全て脳があってこそ。
生きている限り働き続けている脳は、睡眠時に情報の整理をしていますが、体を動かさない、物事を考えないので、少しだけ休むことができるのです。
ですから、睡眠は脳にとってとても大切なひと時なのです。

脳にとって質の良い睡眠とは?

脳にとって質の良い睡眠

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、眠ってすぐの状態がノンレム睡眠です。
比較的深い睡眠で、1時間半ほど続いたあと、浅い眠りのレム睡眠が訪れます。
レム睡眠は20分程続き、眼球がまぶたの下で高速で動き、夢はこのレム睡眠の時に見ていると言われています。
睡眠中はこのノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返しています。

睡眠がもたらす脳への役割

睡眠がもたらす脳への役割

24時間働き続けている脳ですが、全ての機能が24時間働いているわけではありません。
常に働いている視床下部や脳幹、海馬などの脳機能と、睡眠時には働きを休む大脳皮質や視床があります。
レム睡眠の時には神経細胞が休んでいて、脳内物質であるセロトニン、ノルアドレナリンなどは分泌されていない状態のため、ここの細胞が修復されます。
ノンレム睡眠では上記と大脳も同時に休息しているので、脳内物質を分泌する細胞と同時に、大脳の神経細胞も修復されます。
睡眠中は神経細胞を修復しながら情報の整理をして脳に記憶としてインプットし、ノンレム睡眠とレム睡眠を一晩で3~5回繰り返します。
脳の細胞の修復を行っているのですから、質の良い睡眠は、脳の老化が進みにくいとも言えます。

短時間でもスッキリ目覚めるわけ

レム睡眠から自然に目覚めると、とても頭がスッキリとした目覚めになりますが、タイミングが悪く、ノンレム睡眠の時に目覚ましで無理やり目覚めると、なんだか疲れたような、スッキリしない目覚めになってしまうのです。
うたた寝をしただけなのに、驚くほど頭がスッキリすることがありますが、タイミングよくレム睡眠から目が覚めているのでしょう。
質の良い睡眠とは、レム睡眠で目覚められた睡眠のことを言います。

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睡眠と脳と記憶

睡眠と脳と記憶

記憶を司っているのは、脳の中でも「海馬」という部分です。
海馬は睡眠中も眠らない脳です。
特に、ノンレム睡眠の時には活発に活動していて、情報を整理し、脳に記憶として定着させる働きをしています。
大脳脂質が休息しているノンレム睡眠では、追加するべき情報が入ってこないので記憶が定着しやすいのです。
睡眠をとるということは、脳の老化防止と記憶をしっかりとどめる役割があるのです。
よく、テスト勉強や受験勉強で、寝ないで勉強をする学生がいますが、これらを考えると逆効果だということです。
気持ちは分かりますが……。

脳にとって良い眠りの環境

脳にとって良い眠りの環境

脳にとって質の良い眠りが分かったところで、眠りの環境についてはどうでしょうか。
部屋の照明をつけたままじゃなければ眠れないという人がいますが、眠りの環境としては良くありません。
ストレスを過剰にせず、精神状態を健康的に保つセロトニンが、睡眠ホルモンであるメラトニンに変わるには、光が少なければ少ないほど速いのです。
ですから、脳にとって良い眠りの環境は、やはり暗い環境が望ましいと言うことです。
ただ、部屋が暗いことによって不安感・恐怖感が生まれてしまう人にとっては逆効果ですので、間接照明にするなどの工夫をしてみるといいでしょう。

室温のコントロール

室温のコントロール

良い眠りをとるためには、室温も大きくかかわってきます。
室温が寒すぎても暑すぎてもよく眠れないという経験、誰にでもあるでしょう。
寝苦しくて寝返りを何度もうっているということは、脳が筋肉をどう使うかコントロールしているので休まる暇がありません。
脳を休ませるためにも暑ければ頭を冷やし、寒ければ暖かくし、良い睡眠へと導いて脳を休ませてあげましょう。

脳と生体リズム

体内のリズム、昼と夜のリズムのことで、地球環境に合わせてできています。
お日様が昇ると脳の働きが活発になり、セロトニンが分泌されて脳が活性化され、ドーパミンも出るためにやる気も高まり、ノルアドレナリンで集中力モアップします。
夜、暗くなると脳は眠くなるメラトニンを出し、休息に向けて血圧や体温を下げます。
昼間明るくなり、夜暗くなることで生体リズムと脳内物質が出るリズムがあり、人間は昼間起きて行動し、夜には眠くなるようになっているのです。
夜眠り、朝起きるという基本的な生体リズムを無視して夜型人間になってしまうと、当然ながら生体リズムが崩れます。
日中眠くなり、眠いのに眠れなくなり、寝ても生体リズムが崩れているので質の良い睡眠ができません。
脳の働きだけではなく、身体にも良いことはありません。

脳の生体リズムは25時間!?

脳の生体リズム

生体リズムは脳だけにあるわけではなく、私達の身体には、様々な生体リズムが備わっています。
昼間に上がって夜になるとさがる体温や血圧、睡眠から目覚めるまでのサイクルはほぼ24時間刻みのサイクルになっています。
ですが、脳の生体リズムは25時間サイクルになっているのです。
え?1日24時間だから1時間合わないのでは?
そうです。1時間のズレが生じるのです。
だったら誤差1時間のせいで、生体リズムがどんどんずれていくのではないかと思われるかもしれません。
ここが生命の神秘とも言うべきところで、本来25時間サイクルである脳の生体リズムが、ちゃんと他の生体リズムに合わせ、24時間になるよう、調和するように働いています。

25時間サイクルを24時間サイクルに

25時間サイクルを24時間サイクルに

脳の生体リズム、自動で24時間に調和してくれるわけではありません。
脳の生体リズムを24時間に調和するには、「朝日を浴びる」と言うことです。
朝起きて朝日をたっぷり浴びる事で、脳の生体リズムは24時間に調和され、セロトニンもたっぷりと分泌され、脳(頭)がシャキ!っとします。
朝起きられない人のために、太陽の光同様の光を浴びさせて生体リズムを調整する、光療法があるくらいです。

脳と睡眠のまとめ

脳にとって良い睡眠とは、「眠る部屋の環境作り」と「生体リズムを整える」ことにあります。
中々眠れないという人もいるでしょう。
眠る前に神経を高ぶらせるようなことをしない、日中、運動などをしてなるべく体を動かすなどの工夫をしてみましょう。
年齢と共に脳も衰えてきますが、良い睡眠をとることで、物忘れがひ脳と睡眠のまとめどい、記憶力が低下する、集中力が保てない、やる気が起きない、などのことが起きにくくなります。
朝起きたらカーテンを開け、朝日を浴びましょう。
天気が悪くても、カーテンを開けたら思い切り身体を伸ばしてみましょう。
1日の始まりが、スッキリとはじまると、その日1日、頭もスッキリです。

投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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