人間とその他の生物の脳の違い

これまで、人間の脳に関する違いを取り上げてきましたが、脳は何も人間だけが持っているものではなく、哺乳類を筆頭とする様々な動物もちゃんと持っています。

しかし、当然ながら人間と他の生物との脳の間には様々な違いが存在しています。その人間とその他の生物の脳の違いを見ていきましょう。

人間と猿の脳の違い

猿

まず、人間に最も近いといわれているサルとの違いを見てみましょう。

実は、人間はサルの一種であって、動物分類としては同じ種に属しています。DNAを解析しても違いはほとんどなく、せいぜい違っていても1%程度です。従って、脳の構造も見た目もほとんど違いがありません。サルの方が頭が小さい分、大きさが小さいだけです。

実際にサルも人間と同様言葉を理解することができますし、簡単な道具を使うことも可能です。では、人間とサルの違いを決定付けているのは何なのでしょうか。

人間は、例えば電話番号を覚えてかけることが可能ですが、これは人間の「短期記憶」能力がそれを可能にしています。この短期記憶で覚えたことは数十秒で忘却の彼方に行ってしまいますが、繰り返し反復したり、また長期に覚えるべきだと判断された情報については長期記憶のほうに回され、そこで記憶します。

逆に、暗算などの作業を行うときも長期記憶から短期記憶に情報を回してそこで計算しています。サルはどうやらこの短期記憶能力が弱いようです。

この短期記憶は脳の前頭葉で行われていることがわかっているので、人間とサルの脳の大きな違いはこの前頭葉の仕組みにあります。

ちなみに、サルも言葉を理解することは可能ですが、人間のように話ができないのは、サルの声帯が言葉を発生できない作りになっているからです。話すことができないので、言語に関わる部分が余り発達していない、いや、これ以上発達する必要がなかったのでしょう。

基本的に人間とサルの脳の違いは、前頭葉の仕組みにのみ見られるようです。

人間と他の哺乳類との脳の違い

サル以外の哺乳類については、霊長類であるチンパンジーやゴリラはサルと同様人間とほぼ同じ脳をしています。それ以外の哺乳類や両生類、爬虫類などについては、基本的な構造はほとんど違いがありませんが、特徴としては、知能が低いと思われる動物ほど小さく、しわが少ないということが言えます。

現に、よく実験などで使用されるマウスの脳の表面はつるつるです。適切な表現ではないかもしれませんが、大脳の発達具合が小さいほど理性的ではない本能的な動物になっています。

イルカ

では、一時期話題になった人間と同等の知能を持っていると言われているイルカの脳はどうなっているのでしょうか。

確かに、イルカの脳のしわは人間のものより多いですが、知能に最も重要だといわれている大脳皮質の厚さが人間のものと比べて決定的に薄く、また神経細胞の密度も小さいです。

イルカは音でコミュニケーションをとっていることが知られていますが、鳴き声やうなり声などでコミュニケーションをとっている動物はイルカだけではないですし、これをもってイルカは人間と同等の脳をもっていると考えることはできません。

世間一般の印象はともかく、医学的な分析では同等の能力を持っていると考えることはできないようです。

人間と鳥類の脳の違い

スズメ

様々な生物の中でも、鳥類はちょっと特殊な脳になっていて、脳幹の中脳が特に発達しています。これは空を飛ぶときのバランスを維持する必要があるため特に発達したと考えられています。

それ以外の各部分については人間と余り変わりませんが、大脳の発達に関しては種類差が激しく、特にあのゴミを撒き散らすことで悪名高いカラスの大脳は他の鳥類と比較しても大きく発達しています。

なるほど、カラス対策をしても学習してそのうち効果がなくなってしまうのもうなずけます。

人間と昆虫の脳の違い

蜂

今まで出てきた生物は、構造は人間の脳とほとんど変わらず、その発達部分が違っているという違いしかありませんでしたが、昆虫の脳の場合は構造からして違っています。当然、人間と昆虫では体の大きさからして違いますから、人間と同じものを持っているとは考えにくいですが。

人間の脳は頭に独立して存在していますが、昆虫の脳は頭と上半身にまたがるような形で存在しています。人間が情報等を処理する大脳に相当するのは昆虫の脳の中にあるキノコ体だといわれています。

残念ながら昆虫の脳に関する研究はそれほど進んでいないので未だわからないことが多いのですが、小さいにもかかわらず機能が高いことはわかっており、その仕組みを調べる研究が今後進められそうです。


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