性同一性障害は脳の研究が進んでいても原因を特定する事が困難な病気

性同一性障害

脳に関する様々な研究が進み、大分その仕組みがわかってきたとは言っても、脳についてわからないことはまだ山積みであり、そのためまだ根本的な治療法が判明していない病気も多く存在しています。
最近よく取り上げられるようになった性同一性障害も、未だに治療法が確立されていない病気の一つです。
ブログで自分が性同一性障害だと告白し、その治療過程を公開している人もいますが、その困難さは想像を絶するもののようです。

性同一性障害とは

性同一性障害の女性

性同一性障害とは、身体の性別と性自認による性別が一致しない状態のことを言います。これだけなら「ああ、最近多いよね、そういう人」で片付けられてしまうかもしれませんが、そういうのとは全く違います。

最近話題に上がることが多いニューハーフというのは、「身体は男性で、自分が男性であることはわかっているんだけど、本当は女性として生きていきたい」のような考え方をしています。

一方、性同一性障害の場合は、「自分は女性(男性)なのに、身体だけ男性(女性)である」という状態です。自分の意識と身体的特徴のギャップに悩まされ、苦しんでいます。

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性同一性障害の原因

悩む女子中学生

性同一性障害の原因は、患者数が多くいるわけではないこともあり、中々研究が進んでいないのが現状です。

では、今の時点でどの程度のことが判明しているのでしょうか。

性自認とは

性自認とは、簡単に言うと、自分の性別に関する確信のことです。

男性と女性の区別は、身体的特徴や、染色体の構造などで分けることができますが、人間が考える性自認はその構造的特徴とは全く関係なく形成されるというのがわかってきました。従って、男性の身体を持っているから男性、女性の身体を持っているから女性と人間は考えているわけではないのです。

このことが普通の人々の間で話題に上らないのは、ただ単に身体的性別と性自認の性別が一致している人がほとんどだからです。しかし、ごくまれに一致しない人がいるのも確かで、その人々が性同一性障害と呼ばれているのです。

性自認の決定

性同一性障害は、身体的な性別と性自認の性別が食い違うのですから、性自認の仕組みがわかれば性同一性障害の原因究明に大きく近づけそうです。

しかし、性自認の決定については、「生まれつきの脳の構造によって性自認が決まっている」という先天説と、「生まれてから身体にあった性別として周りから扱われることによって性自認が決まる」という後天説に分かれていて、未だどちらが正しいのか明確な結論はでていません。

男女の脳の違いと性自認

前に、男性と女性の脳の構造は明確な差が認められるというお話をしましたが、もし、性同一性障害患者の脳の構造が身体的な性と異なる性であることがわかれば、性同一性障害の原因究明に役立ちそうです。

性同一性障害患者の脳を調べたところ、性行動に関わる脳の分界条床核の構造が性自認の性と一致しているらしいということがわかりました。これにより、現在では「脳の分界条床核から発生する神経が性ホルモン分泌の異常によって正しく構築されなかったことで性同一性障害になる」という説が最も有力視されています。

しかし、既に述べたように、脳の神経細胞はものすごく複雑な連結をしていて、どこがどう構築されなかったのかを分析することはできません。

仮にこの原因が正しかったとしても、性同一性障害のために脳の神経構造を治療するのは現時点では不可能です。

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性同一性障害の治療

性同一性障害イメージ

性同一性障害は、患者にとっては耐えがたい苦痛であり、そのまま放置しておくと自分の性器を切り落とそうとしたり、ギャップに耐え切れなくなってうつ病を併発したりと、非常に問題が大きいです。従って、性同一性障害と診断された場合は、一刻も早く治療を受けなければなりません。

しかし、性同一性障害とただの性転換希望者との違いを区別できる病院の数が非常に少なく、正確な診断が下されていないケースが多いです。また、性同一性障害と診断されても、治療法は脳内の性自認と身体の性を一致させるしかありません。性自認はある程度人間が成長すると変更することは不可能といわれていますから、性同一性障害を治療するためには性転換手術をするしか方法はなく、患者の金銭的な負担も非常に大きいです。

性同一性障害に関しては、残念ながら将来的な見通しも暗いです。脳の神経構築の異変が原因なら、現代医学を持ってしても手をつけることはできません。数十年後、数百年後になればもしかしたら可能になるかもしれませんが・・・。

今できることは、性同一性障害で苦しんでいる患者を一刻も早く救い出すこと、そのための環境を整備することくらいなのでしょうね。

投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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