躁病・うつ病・躁うつ病は精神の病気ですが脳の問題が生じている場合も

躁病・うつ病・躁うつ病

最近の社会情勢のせいかどうかはわかりませんが、うつ病患者数が猛烈な勢いで増加しています。特にうつ病は「心のカゼ」とも言われており、特殊な病気でもなんでもなく、誰でもなってしまう可能性がある病気になっています。また、それと正反対の症状を引き起こす躁病、躁とうつを交互に繰り返す躁うつ病もあります。

いずれも、何らかの脳の変化によって引き起こされていると考えられますが、果たして脳の何がどう変化しているのでしょうか。

躁病とその症状

躁病

躁病とは、わかりやすく言うと、ハイ状態になっていることです。

支障のない範囲でハイなだけならいいのですが、症状が進行すると実生活に影響を及ぼすようになります。妙に明るい反面ちょっとのことで怒り出す、集中力が低下する、自分は何でもできると考えるようになり自尊心が増大する、さらに気分が高揚しすぎているため金遣いが荒くなり、浪費するようになります。そして、さらに症状が悪化すると今までの反動がきたかのように極度のうつ状態になります。

躁病は一見妙に明るい人という印象しか受けないので、それほど深刻に受け取られていないようですが、躁病患者は自分が躁状態であるという認識が全くないのが問題です。できもしない仕事を軽々しく引き受けてできなくても何も悪びれることがなかったり、家計に余裕があるわけでもないのに勝手にお金を使ってしまったりと、本人よりも周囲に悪影響を与えてしまうので、仮に症状が治まったとしてもその後の人間関係にまで影響を引きずることになります。

ある意味、うつ病よりもタチが悪いです。

様々な依存症は脳から出るドーパミンの分泌にも影響が
様々な依存症は脳から出るドーパミンの分泌にも影響が
昔から大きな問題になっている様々な依存症。依存症とは、その種類は、その時の脳の変化は、依存症の治療法は、などについて紹介しています。

うつ病とその症状

うつ病

躁病に対し、一般的にも広く認知されているのがうつ病です。

うつ病は躁病と全く逆の症状で、妙に暗くなる、考え方が悲観的になる、やる気が出なくなる、よく眠れなくなる、などの症状が現れます。それ以外にも、食欲がなくなる、頻脈・頻尿、吐き気、過呼吸など、身体的な症状が出る人も多いので、本人もうつだと自覚するケースが多いです。

しかし、逆に身体的症状は出ているけれども、気分的にふさぎこんでいる自覚がない人が実はうつ病だったというケースがあります。これは「仮面うつ病」と呼ばれていて、普通のうつ病と違って自覚がないため、気が付いたら重症化していたといったケースが多いです。

うつ病患者ははたから見て「最近話しなくなったなー」くらいの印象しか受けませんが、うつ状態の人の中は悲観的な考え方が支配しているので、ある日突然取り返しの付かない行動に出ることもあります。

食事で脳のパワーをアップさせよう
食事で脳のパワーをアップさせよう
脳と食事の関係も密接です。食事から摂る栄養素が脳を活発にし、また、満腹中枢を刺激することでお腹がいっぱいになります。食事で脳をコントロールすることで、健康を手に入れることも不可能ではありません。

躁うつ病とその症状

躁うつ病とは、周期的に躁状態とうつ状態を繰り返している病気です。双極性障害とも言われています。

うつ病患者に比べるとその患者数はうつ病患者の100 人に1人程度なので数は少ないですが、純粋な躁病患者は非常に少なく、躁状態の人のほとんどはこの躁うつ病です。あの文豪で有名な夏目漱石や三島由紀夫も躁うつ病でした。

躁とうつの変化の周期は決まっておらず、数ヶ月間隔で変化する人もいれば、季節ごとに躁とうつを繰り返す人もいますし、予期せぬときに突然変化する人もいます。

躁うつ病はうつ病と違って再発率が非常に高く、再発すればするほど再発率がどんどん高くなってしまうので、一旦発症すると一生治療し続けなければならず、単なる躁病やうつ病よりも患者本人や周囲の人間に与える負担は大きいです。

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躁病・うつ病・躁うつ病の原因

躁うつ病の原因

躁病・うつ病・躁うつ病はいずれも精神的な問題ですから、脳のどこかに問題が生じていることは昔から知られており、脳の研究とともに病気の研究も行われています。特にうつ病患者が多いことからうつ病の研究が進んでいます。しかしながら、躁とうつ相反する症状であることから、これらの病気の原因はほぼ同じものだろうという見方が強いです。

セロトニン

現在最も有力視されている原因は、脳の情報伝達物質であるセロトニン不足です。セロトニンは、統合失調症のところで説明した興奮作用をもたらすドーパミンや、不快感をもたらすノルアドレナリンの活動をコントロールする役割を担っています。脳のセロトニンが不足すると、脳のドーパミンやノルアドレナリンの活動が正常に行われなくなり、ドーパミンの過剰供給による躁病や、ドーパミン・ノルアドレナリンの供給低下によるうつ病、また、供給不安定な躁うつ病になると考えられています。

an class=”bold-red”>残念ながら脳のセロトニンがなぜ不足的な原因はわかっていません。ストレスやプレッシャー、あるいは遺伝だという説もあるようです。現在、日本人の多くが脳のセロトニン不足だという指摘もありますから、ほとんどの日本人がちょっとしたことでこれらの病気にかかってしまう可能性を持っています。

躁病・うつ病・躁うつ病の治療法

躁病・うつ病・躁うつ病

脳のセロトニンが不足するのかわかっていない以上、これらの病気を予防することは非常に難しいですが、治療法に関しては研究が進んでいます。

躁病の治療法

ただの躁病であれば、数週間から数ヶ月間の間に自然と元に戻るケースが多いので、特別な治療をしなくても治ることは治りますが、症状が出ている間は周囲に悪影響を与えてしまうため、この時は直ちに入院して自然回復するまで症状を抑えておかなければなりません。

問題は、躁病患者は自分が病気だとは思っておらず、興奮状態になっているため、中々周りの思うように治療するのが難しいことでしょう。

うつ病の治療法

うつ病に関しては、大昔から研究されてきている病気なので、治療法は年々進歩し、副作用がでなくて効果が大きい薬が開発されて治療に使われています。

特にうつ病に関してはかなりの治療法が確立しています。

テレビのCMでもやっているので見たことある人も多いかと思いますが、うつ病は治ります。しかも、昔と違って再発する可能性もずいぶん低くなりました。

うつ病も躁病と同様に、半年ほどたつと自然に治るケースが多いですが、その半年の間に取り返しの付かない行動をする可能性もありますから、症状が改善するまでは薬を飲み、ゆっくりと静養することが大切です。

躁うつ病の治療

躁病やうつ病と違い、躁うつ病の場合は治療しないでいると回復する見込みはありません。しかも先ほど述べたように、躁うつ病は時期によって症状も変わりますから、常に状態を観察し、その人の状況に応じて適切な薬を投与する必要があります。さらに症状が改善しても躁うつ病は再発率が高いですから、その後も一生予防治療を続けなければなりません。

幸いにも、躁うつ病を予防する薬は開発されているので、薬を確実に飲み続けることで発症を押さえることは可能になっています。いずれの病気にしても、本人と、そして周りの人間の協力が必要不可欠です。

投稿者プロフィール

脳科学吉宗
脳科学吉宗
脳を研究しつづけてきました。脳をきたえる為のトレーニング方法や病気と脳の関連性の記事を書いています。右脳と左脳の違いや動物の脳と人の脳の違いも研究しています。
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